「人種差別」タグアーカイブ

顔認識がアジア系男性を「目が開いてない」と拒絶 ニュージーランド

Facebook上でニュージーランド人のリチャード・リーさんが公開したメッセージがこれ。

パスポートの更新をしようとオンライン手続きをする際に、自分の顔写真をアップロードしたところ、「被写体の目が閉じています」というエラーになって受け付けてくれなかった、という事件です。

多数の既存の顔写真を機械学習させた結果で、目を閉じている写真をエラーにしているのだと思いますが、教師データとして世界中の顔写真ではなく、ヨーロッパ系やマオリ系が多数というニュージーランドの顔データを使ったのかもしれません。

アジア人の目をことさら取り上げたり強調して描いたりすることは、人種差別として厳しい批難を受けるようになってきています。10月に欧州連合の委員が巻き起こした事件は記憶に新しいところ。

欧州連合(EU)のギュンター・エッティンガー欧州委員(デジタル経済・社会担当)=ドイツ=が、中国人を「つり目」と呼ぶなど差別的な発言を繰り返していたことが暴露され、批判にさらされている。

差別発言に批判=欧州委員、中国人を「つり目」:時事ドットコム

上の記事がYahoo!ニュースに転載されていた時に寄せたコメントが掲載終了で見えなくなっているので、こちらに転記しておきます。

つり目(slant-eyes)は、西洋において東アジア人の顔面の特徴を揶揄する際に使われる典型的な差別表現になっています。2008年にはスペインのバスケットボール・ナショナルチーム、2009年には歌手のマリー・サイラス、2013年にはスペインのバイクレーサー、マルク・マルケスがこの表現で炎上しています。

今回は中国人を指してのものですが、マルク・マルケスの時は日本人が対象でした。

今回のリーさんは、笑い話として共有して世界中に広まりましたが、そのコメント欄でやはり差別的な書き込みをするような人も出てくるわけです。

ニュージーランドのパスポートセンターも、悪気があってシステムを作ったわけではないと思いますが、機械学習のための元データの選定についても学習させるデータのセットが本当にそれでいいのか、というのを考えないといけないのでしょうね。

via Bored Panda

ツイッター上の人種差別発言を実世界の大看板でリツイートするブラジルのキャンペーン

ブラジルで黒人女性の権利を守る団体 Criola が、ツイッター上での人種差別を「活用」したキャンペーンを行なっています。

ツイッターやフェイスブック上で見つけた人種差別的な発言を、その発言した人のがいる街近くに大きく掲示するというものです。

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ツイッター等での発言にはスマートフォンなどのGPSから位置情報がついていることがあるので、その位置に近い場所にある協力企業等の広告看板にそれを掲示しています。

ドメイン名・キャンペーンで出てくる”Racismo Virtual. As Consequencias Sao Reais.” は、「バーチャルでの人種差別でも、結果は現実です」という意味のようですね。

rasicmo_virtual_1

たとえばこのツイート、「私は風呂に入ったので、汚いから近づくな」といったような意味っぽいです(機械翻訳で)。

このキャンペーンは、7月3日の人種差別撲滅デーに、女性ジャーナリスト、マリア・ジュリア・コーチンホ氏のフェイスブックに対して書かれた4人の人種差別コメントと、数千人のブラジル人がそれに反対して声を挙げた事件がきっかけで起こされたと説明されています。

アイコンや名前のところは伏せてあるし、個人を晒すことが目的ではない、ということなんですが、本文でウェブ検索すると元のツイートも見つかったりしますね。英語での紹介記事を読んで元発言者らしき人に突撃リプライしている方も。

「人種差別コメントを書き込む前に、それが引き起こす影響について一考してほしい」という動機のようですが、どうでしょう。ちょっとギリギリ過ぎな感じもあるのですが。

ソーシャルメディア上での発言は、炎上した時にはまったく知らない人たちにまでどんどん拡散していってしまいますが、屋外の大看板に掲示されるというのはそれと似たところがあるかもしれません。いつもやりとりしている仲間とだけ内輪で喋っているつもりかもしれなくても、実際には外で大声で叫んでいるのと変わらない場合があるよ、という学びにはなるかもしれませんが。

via ITV News

「ブラック」「黒」のついたネガティブな言葉は人種差別か?

話題になっているこちらの記事、

「ブラック企業」は、人種差別用語である | トレンド | 東洋経済オンライン

私はこの「ブラック企業」という言葉を以前からずっと「人種差別用語」、あるいはそれに類する言葉だと思ってきた。この言葉を耳にする度に、「ああまた、人種差別用語が使われている」と心を痛めてきた。使ってはいけない言葉だと思っている。

その発想は無かったなあ、というのが正直な感想。最初に「ブラック企業」と言い出した人は、ブラックリストなどからの連想でつけたのではないかと思うんですけどね。

記事では、映画「マルコムX」の中で「黒」がついた英単語が如何に悪いイメージのものばかりか、と語る場面を引用しています。 例として、blackmail(脅迫)、blackball(追放)、blackguard(ごろつき)、などが出てきています。

# 史実をベースにしたものでしょうけど、映画は映画ですし、実際にはこういう会話があったのかどうか。

海外で実際にそんな主張があるのか、支持されているのか、すこし検索してみました。検索上位に出てきた「ブラックなんたらは差別的(?)」というページはこんなかんじ。

デイリーメール

Met Police ban the word “blacklist”; over claims it is racist | Mail Online 2012年5月

ロンドン市警、「人種差別だ」とのクレームに応じブラックリストをブラックリスト入り、レッドリストへ言い換え。

デイリーメール紙の記事であり、他のちゃんとしたメディアが報じてないので、与太話の可能性が高いかと思います。レッドリストは、絶滅危惧種などのリストを指す際に使われてる言葉でもあるので、赤に変えるのもどうかなというところですが。

デイリーメール紙の記事でも引用されていますが、オックスフォード辞書でのブラックリストの説明では、1624年にイギリスで使われた例が最古のもののようです。特に黒人に関係して成立した言葉という証拠も無さそう。

ナイジェリアの新聞The Punch

Opinion セクションなので、新聞記事というより読者の投書ではないかと思うのですが、Azuka Onwuka さんが「ブラックなんたら」に関してまとまった考察と提言をされてます。2014年3月18日

前半は、西洋人がイエス・キリストを映画にしたら、なんで浅黒い肌の中東系じゃなくてヨーロッパ人みたいな白い肌に青い目になるのか、悪魔ルシファーは明けの明星が名前の基なのにどうして黒で表現されるのか、といった西洋文化に対する不満の表明です。

そして、fat(太っている)を”plus size”(大きめサイズ)とかpoliceman(男性警察官)をpolice officer(警察官)、chairman(男性会長)をchairperson(会長)などと置き換えようとするほど差別に敏感になっているのに、どうしてblack を含む悪い言葉は気にならないのか、と続きます。

ここで例示される単語は、black sheep(集団の中の厄介者), blackleg(詐欺師), blackmail, blacklist, black lie(悪い嘘 ⇔ white lie), black book(ブラックリストに同じ), black spot(事故多発区域), black head(黒にきび), the Black Death(黒死病), black September(ブラック・セプテンバー), the Dark Continent(暗黒大陸, ハンターxハンターじゃなくてアフリカを指す), dark-hearted (腹黒い)、など。

# 勉強になるなあ

「唯一blackでポジティブな単語はblack belt(黒帯)だが、これはヨーロッパからじゃなくて日本の格闘技から来てるからだろう」だそうです。

「アフリカ系アメリカ人がこれらの言葉を禁止させるように運動していないのは驚きだ」とも述べてますが、コメント欄の反応は冷ややかです。

Stack Exchange の英語板 – たくさんの代替案

技術者Q&Aコミュニティの StackOverflow の運営で知られるStack Exchange による、英語の使い方Q&A サービスEnglish StackExchange にあった質問です。

Alternative term to “Blacklist” and “Whitelist” (ブラックリスト と ホワイトリスト の言い換えを探しています)

SIMカード管理システムを開発している会社に居ますが、「ブラックリスト」と「ホワイトリスト」という言葉について、問題になる可能性があるのではと誰かが言ったんです。

とても簡単でわかりやすい言葉だと思うのですが、人種的な問題を引き起こすなら、それは望むところではありません。

ブロックトリスト、非ブロックトリスト、許可リスト、など代替案を考えてみましたが、ピンときません。

本当にこれらの単語は問題なのでしょうか? もっと良い単語はありますか?

8件の回答者の一人も、ブラックリスト/ホワイトリストが差別的だとは言っていません。コメント欄も含めて、それは考えすぎだろう、というのが全体の調子です。

その上で、それでも代わりの単語を考えるなら、というので出されたアイデアを列挙しておきます。

nice / naughty (わんぱくな)
good / ungood
block / safe
block / alright
allow / deny
accepted / rejected
go / no go
yea / nay
pass / stop
go / stop
pro / con
yes / no
green / red
we / de
good / bad

最終的に、この会社の人たちは ブラックリスト / ホワイトリスト のままで行くことに決定したようです。

英語ではないカタカナ語の欠点

「ブラック企業」を、英語で伝える時に “black company” と間違ってしまう、という元の著者の指摘については、一理あるとは思います。和製英語のカタカナが頭にあると、英語を話す時にどうしても間違ったり、つっかえたりする事があるんですよね。「ブラック」という英語が元の命名をしたいなら、英語にもともとある表現、英語でそのまま通じる表現の単語を使って貰えるとそういう間違いが減っていいのかなあとは思いますが。

イギリスのRubyカンファレンスBritrubyが人種・性別差別問題で開催中止に

英国ルビーカンファレンス(BritRuby)が、登壇者の人種・性別問題によって中止される、というニュースをVentureBeat経由で知りました。

BritRubyは、来年の3月中旬の2日間、イギリスのマンチェスターで開催が予定されていたRuby on Railsコミュニティによるカンファレンスで、500名の参加者、20名のスピーカーを見込んでいたようですが、この登壇者がすべて「白人の男性」だったことが、今回の開催キャンセルの遠因のようです。

HackerNewsでの議論の中で指されている問題の開始点がこの一連のツイートだというのが本当であれば、「参加者が全員白人男性なのだけが残念だ」というつぶやきに対する応答の中で、主催者側が「実力で選んだらそうなっただけ」と答え、「マイノリティは実力が無くて選ばれなかったのか?」となったあたりから、炎上しているようです。

この炎上が起こったのは昨日11/18のようですが、(もう消えてしまった)「性差別&人種差別という言及のせいでスポンサーが手を引いた。お金がないので開催できない」というつぶやきが中の人っぽい人(女性のようですが)によってされていて、ゴタゴタを嫌ったスポンサーの意思が影響したのではという観測もあります。

[追記] 公式ツイッターにも類似のツイートがありました。こちらは削除もされていません。

https://twitter.com/BritRuby/status/270221926490857474

「BritRubyの中止の決断は、主に、ツイッターで起こった件を発端とした財政的な問題によるものです」

スポンサー絡みだ、と言う主張は同じですね。

イギリス国内でやってて、イギリス人の多くが白人なら(香港系、インド系、ジャマイカ系などいろいろなイギリス人がいるけれども)、本当にたまたまそうなった可能性もあるのではと思いますが、突っ込んでる側に言わせると、イギリスの他の同様のカンファレンスではもっと多様性はあるよ、ということ。前記のようなソーシャルメディアでの応対が一番まずかったのでしょうかね。

関係者による意見表明がgithubで起こったりしているのが技術コミュニティらしいところで、そこでは、「ただ多様性を得るためだけに他の人種や女性スピーカーを招待すべきなのか? それはそうやって招待された人への侮辱ではないか?」という意見も出ています。

# そうやって、バランスを取るために形ばかりに入れるマイノリティのことを”token minority”、そういう女性のことを”token female”などと言うみたいですね。知りませんでした。

Rubyのコミュニティなら、Rubyを作ったのは非白人なことは知ってるだろうに、と思いましたが、@BritRuby オフィシャルは

https://twitter.com/BritRuby/status/269853833503588352

「まつもとゆきひろ氏を数ヶ月前に招待したけど、まだ返事を貰っていない」

と言い、当のまつもと氏は

「昨日メールをもらったばかり」(= 数ヶ月前の招待というのは貰ってないか、気づいてない)とつぶやいていまするので、非白人の切り札として急遽招聘しようとしたのでしょうね。

[update] @BritRuby の言う「数ヶ月前の招待」はまつもと氏は受け取っていたそうです。再度の招待メールを受けたのが昨日18日で、メールの時刻から、人種差別の指摘の後にメールが送られていた、つまり、炎上したからという理由であらためて催促したわけではないのではということです。

東京で技術カンファレンスを開催して、登壇者が全部日本人で男性だった、なんてことは普通にありそうですが、東京なら外国人や女性のエンジニアだって多数いますし、先々同じようなことが日本でも起こるかもしれませんね。主催者は日本人男性ばかりにならないように、女性や外国人も含まれるように気をつけるべきなのか、そういう候補がいても実力が足りないと思った際には下駄を履かせるべきなのか、など悩みは尽きなさそうです。

YouTube上の「奴隷制ゲーム」予告映像の起こした反応

たった48秒の動画なのですが、Javelin Reds Gaming社の”Slavery The Game”(奴隷制)というゲームの予告編が話題になっています。

「17世紀、ヨーロッパが世界を制覇していた時代に戻り、莫大な富を築け。奴隷を購入し、しつけ、搾取し、最も有力な奴隷商人となるのだ」

今再生回数は40万回ぐらいです。上記の文句も刺激的ですが、イメージ映像の方もギョっとするつくりです。

しかし、既にこの動画上にはテキストで「この動画は、過去の奴隷制の歴史と、今も残る奴隷の問題に注目してもらうためのバイラルキャンペーンであり、ゲームは実在しません」という注意書きが掲載されるようになっています。このゲーム、実際に製作中だったり発売されるわけではなくて、この予告映像だけが作られたということですね。

広く見られることを狙って作ったのだから、種明かしが若干早かったのでは、と、自分も種明かしされてから騒動に気づいた口なので思ってしまいますが、この動画のコメント欄や返信ビデオの多さ、そこで相当多くの人がこのゲーム予告を本物と信じて怒っているようなので、しょうがないかもしれません。

このキャンペーン自体はオランダのテレビ局が作ったもので、ゲームに関する番組のようです。最初の公開が9月1日、キャンペーンのリリースが9月7日となっています。キャンペーンの動機等について中の人が語っている動画も公開されました(オランダ語音声、英語字幕)。奴隷制へのオランダの関与等についても話していますね。

「実際にこれ以上多くの人に問題について考えてもらう方法なんてないでしょう」みたいな擁護のコメントもありますが…

自分の場合も、これがそういうキャンペーンだと知らずにいきなり話題の動画として見ていたらどう反応していただろう、と考えたりもします。